一般的にいうと、優等生と劣等生が、行動を共にするような仲間同士になることは少ないようだ。もちろん、部活の同輩とかゲーム仲間のように、別のジャンルで課題を共有している場合なら、優等生と劣等生が手を結ぶことはありえる。あるいは、いつもいじめられる優等生を、腕っぷしの強い幼なじみの劣等生が守ってやる。そのかわりに優等生が劣等生のテスト勉強を助けてやる、という関係も考えられないこともない。いずれにせよ、一ついえることは、一方的に相手に依存する関係には、お互いに耐えられなくなってしまうということである。たとえば、ノートの貸し借りでも、一方的に借りるばかりで、こちらからの「お返し」ができなければ、ふつうは心苦しく感じる。それがイヤで、あいつからはノートは借りないでおこう、などと思ったりする。ただし、あいつからノートを借りたから、こんどは、予備校情報や志望校情報を調べて教えてやろうというふうに、「ギブ・アンド・テイク」ができれば、負い目もなくなるし、いい感じの関係を育てていくことができる。思春期は、人間関係のパターンを変えていく時期である。これまでは、親に一方的に依存し、甘えているだけでも許された。しかし、そのパターンは学校なり社会なりには持ち込めない。親世界の外にある大人の人間関係、社会的な人間関係の基本は、ギブ・アンド・テイクができるということにある。思春期には、人間関係のパターンを、「親子型」の「未熟な依存」から「大人型」の「成熟した依存」へ変えていくことがテーマだ。お互いに、助けることがあり助けられることがある。ギブ・アンド・テイクのできる人間関係を結び、お互いの関係の中で自分をしっかりさせていこう。これが、「未熟な依存から成熟した依存」へという、フェアバーン(イギリスの有名な精神分析の理論家)の提起した発達モデルなのだ。