現代社会において、PL問題は必然的に発生しうることであるので、主な先進国ではこの問題に対しては早くから現実的な問題として取り上げられてきた。20世紀の半ばには製品の危害から消費者を守るための新しい責任原則の考え方が生まれていた。1950年代のアメリカではラルフ・ネーター弁護士に象徴される企業告発型の消費者運動と、欠陥製品をめぐるPL訴訟が盛んになって、国民の間でも消費者保護の意識が非常に高まっていた。このような社会事情もあって、1962年に当時のケネディ大統領は連邦議会に宛てた特別教書でConsumersBillofRightを発表し、消費者には4つの権利、すなわち、(1)知らされる権利、(2)安全である権利、(3)選択する権利、(4)苦情を聞いてもらえる権利、があると宣言し、これがその後のアメリカにおける消費者保護の憲法として定着した。事実、ケネディ大統領の特別教書提出の翌年である1963年にカリフォルニア州で起きた電動工具の欠陥をめぐるグリーンマン事件では、その考え方が早速採用されている。事件の概要は、グリーンマン氏が電動工具を用いて木工作業を行っていたとき、取り扱い中に加工中の木片が工具からはずれてグリーンマン氏の額を直撃し、グリーンマン氏が負傷したことである。裁判所は製品に欠陥が存在したこと、及び、その欠陥によって損害が生じたことを証明すれば、工具製造者の過失を証明する必要はないと判示した。これが「無過失責任」であり、裁判所の用いた言葉をとって「厳格責任」とよばれている。この厳格責任の法理はその後のアメリカやヨーロッパ諸国に大きな影響を与え、1950年代のサリドマイド事件を始めとして多くの問題をかかえていたヨーロッパ共同体加盟諸国でもPL法が次々と制定された。
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